rapture

好きなものについて書きなぐったメモおきば

【ネタバレあり】仮面ライダーアマゾンズの感想 後編

諸君、わたしは焼肉が好きだ!

特に好きなのは牛タンですね~、あの食感といい味といい最高です。一番好きな食べ方は塩レモン。


お肉に限らず美味しいものはなんでも好きですよ。たくさん食べます。お魚でもお野菜でも。そして当然ながら、動物から植物にいたるまで、我々が日々口にしているものは元々「命あるもの」なんですよね。直接的にしろ間接的にしろ、人間は命を喰らって自分の生きる力にしているわけです。


え、特撮の感想じゃないのかって?

もちろんアマゾンズの感想です。

この作品、「与えられた生を全うする」ために他の命を奪い、苦悩しながらも必死に生きる者たちのお話です。

 

 

ただし、食べられるのは人間のほうだがな

 

 

それでは後半は、この作品になくてはならない「アマゾン」という生命体についてだらだら書いていきたいと思います。ネタバレあります。

 

 

"この世に生まれたことが 消えない罪と言うなら

生きることが そう 背負いし罰だろう"


シーズン2の主題歌の歌い出しですね。これがね~、毎回いいシーンにぶつけてくるんですよ…。切ないとも悲しいとも違う、なんとも言えない感情が湧き上がってきます…。と、これはもう作中の「アマゾン」そのままの表現と言えるでしょう。人間様の都合で生み出され、人間様の都合で殺されるだけの存在。なぜアマゾンは望んで自分たちを作ったはずの人間に狩られてしまうのか?彼らは「人間を食べなければ生きていけない」から。人間のルールで作られた今の社会では、アマゾンという存在は決して許容されることはないのです。

人間とアマゾン、「喰う(殺す)か喰われる(殺される)か」。言葉にすると簡単ですが…新たに「食べる側」として生まれたアマゾンには、「食べられる側」である人間と同じく意思や心があります。アマゾンとの間に絆を作った人間や、人間を食べることを拒絶し苦悩するアマゾンもいます。ここに現実世界とは異なるドラマが生まれるわけですね。


生きるために他の命を奪う(食べる)こと、これを否定したら自分が死ぬか、或いは仁のように「自分の手で殺したものしか食べない」というような苛烈な生き方しかできなくなります。シーズン1ラストの、悠の「なんで人間を食べちゃいけないかわからない」という叫びは、この「人間が生物を食べる理屈」をそのままアマゾンに当てはめたものです。

物言わぬ動植物の命を一方的に奪って生きてきた人間たちが、今度は奪われる側になる。だからこそ、我々人間目線でこの作品を見ると「生きる=殺す、奪う」という現実から目を背けられなくなるんですね~。ここが辛い。だって、それが罪なことと分かっていながら、一度始まってしまった命が「生きたい」と思うことは誰にも止められないし、止める権利なんてないんですから。


そうして人間とアマゾン、相容れない存在どうしが生存競争を繰り広げる中、一際悲しい運命を背負って産まれた命がありました。

アマゾン扱いされるのを嫌い、人間と行動を共にする、人間とアマゾンのハーフである千翼。イユという心の支えに出会いなんとか二人で生きようとするも、制御しきれない食人衝動・破壊衝動を持ち、更に(めっちゃ雑に言うと)歩く病原体である千翼には人間社会で生きていくことは許されませんでした。それでも、全てを悟ってもなお、彼は「生まれてこなければ良かった」とは言いません。「なぜ俺達は生きてちゃダメなんだ」「それでも生きたい」と叫び続ける。

守るために戦う悠とも、けじめをつけるために戦う仁とも異なる、自分という存在に苦悩しながらも純粋に「普通に生きる」ことへの憧れを抱いて戦った千翼は「アマゾンという生命」の悲哀が込められたキャラクターだったなと思います。

…しかしこれを生かしておかない脚本よ。すごいぜ。三人の戦いのシーンが(たぶん意図的に)カットされたのは良心なのか、どうなんだろ。個人的には映ってないぶん大いに想像力を掻き立てられてかなりヘコみました…。

 


"「札森ィ…お前死にたくねぇって思ったことあんだろ」

「とーぜん。毎日ですよ」

「……『生きたい』って思ったことあるか」

「えぇ…?…おんなじでしょ」"


シーズン2ラストでの黒崎と札森の会話。ただ生きたいと願うことすら許されない千翼(=アマゾン)の姿を見て何かを感じたのか、黒崎は札森にこう問いかける。「生きていられることが当たり前」の人間社会で生きる札森(=人間)の返答に、自嘲とも取れる笑みを投げかけてその場から立ち去る黒崎。

アマゾンズ最終回の演出としてすごく好きなシーンです。直前の会長の「人間にアマゾンは早すぎた」という台詞や、仁の「俺達には、お前らに喰われる覚悟がまだできてなかった」という台詞にも繋がるところがあります。

生きるために食べること、それは避けられないことです。しかし、お皿に盛りつけられた食事に対して「ありがとう、いただきます」と思うのか、「生きるためなんだから食べて当然」と思うのか、はたまた「何も感じない」のか。このアマゾンズという作品を見て考えが変わってもいいし、変わらなくてもいい。命が脅かされる立場になってなお、答えが分かれた黒崎と札森のように。でも、何か考える良いきっかけになるのかな、とは思います。

 

 


なんて長々と書いててなんとなく思ったんですけど、冒頭の歌詞、これ人間にも当てはまるような気がしてきたな~。色んな意味で。


あ、そういえば劇場版の円盤がそろそろ出るそうで。悠と仁の戦いに決着がつくんですかね?ジャケットのデザイン的にw

すごく楽しみなので早く観たいような、まだ話を終わらせたくないような、複雑な心境です。