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【ネタバレあり】奏章Ⅲ 新霊長後継戦 アーキタイプ・インセプション 感想

AIが汎く周知されることとなった2023年。この「AI元年」以降、AIモデルやAIシステムは指数関数的に規模を拡大していくとされ、世界の雇用40%に影響を与えるという予測もある。

劇的な時代の移り変わりに、うっすらと言葉にできない恐怖を感じている人もいるだろう。わたしには「人間の知性は未だ、AIを取り扱うに値する域に達していないのではないか」という恐ろしさがある。なぜそう思うのか?ネットを開けば答えはいくらでも転がっているので割愛するが、「身に余る道具」を手に入れた人間は果たして…。

 


とかペシミストきどりをブッかましていたわたしに、「AIは人間の"パートナー"である!!」と屈託ないパンチを何度も繰り出してきたのが奏章Ⅲ『新霊長後継戦 アーキタイプインセプション』。

こっからいつもの感想だよ!

奏章Ⅲのネタバレあるのでご注意ください。

よろしければどうぞ↓↓↓

 

 

 

 


そんなわけで奏章Ⅲ、ミクトランで語られた「生命が為すべきこと」の別視点なお話だなと思いました。今回は『仕事』というワードが何度も登場しており、これが「為すべきこと」にあたるのかと。この物語の大筋で言う『仕事』とは、workではなくmisshionとかdutyのほうがニュアンス的には近いかもしれない。

世界の代表たる"霊長"が責任を持って為すべき仕事、これが『次代に繋ぐ/遺す/託す』ということだったわけですね。AI化した人類は『労働』から解き放たれた。さりとて『仕事』から解き放たれたわけではなかったはずなのだが、それを忘れ、人類史を停滞させたことで人理から剪定されることになってしまった。どんな姿になろうとも「生命」である以上、"次"にバトンを渡し続けることがその本質であるべきだということなのでしょう。


実際、「自身のためだけ、消費のみに特化した人生」というのは、最初は楽しくてもだんだんと虚しさに覆われていくものである。それはなぜか?「ただ消費する」という行為には「責任」が伴わないから。なにも生産性のあることをせよ!などという意味ではない。アンソニーの言うとおり、あらゆる仕事は"後のため"に行われるものである。自らの人生や行動に責任を持ち、それぞれにやれることを見定め背負ってこそ世界は積み重なり、「人類史」となっていくのだと思う。


そして剪定の原因となったムーン・ドバイの人々にとっての大いなるやり残し、「アーキタイプを宙に旅立たせる」という最後の仕事。これを阻んでいたのが人類の集合的無意識である『ムーン・キャンサー』だった。自分たちが頂点であり続けたい=優れた次代に託すことを阻む心…次代の進出を頭から抑えつける「月の"暈"」、人間社会における致命的な害悪、悪性腫瘍…これが今回のラスボスの正体ですね。なんだか人類悪と似て非なる存在なのが面白い。人類悪はその根底に人類愛があるのに対して、こちらは人類の負の側面が表面化した存在なので。

一方で、そんな人類の"パートナー"を自負するAIたち。"休まず、けれど争わず。怠らず、されど奢らない。"こんな理想の人類たるAIが、性能で劣る旧人類のパートナーであり続けることを選んでいる理由をBBドバイは語る。"できないことをやろうとして失敗する! より良い幸福を追い求めて力尽きる!"、AIである自分たちにはできない「計算外のことができる天然の生命」。今を生きる生命は、後のもののために生きている。それを繰り返しながら連綿と受け継がれる人類史の過程で生み出されたのがAIであり、その営みを美しいと感じたからこそ、彼ら/彼女らは人類のパートナーであることに誇りと喜びを抱いたのである。

最後にムーン・ドバイで生まれたラストスロットと融合したBBは、『ムーン・キャンサー』を打倒し後継を選ぶという人類最後の仕事の後、"先輩"から未来を託されることになる。それは次世代の、さらにその先の霊長に移り変わっても彼女は人類を翻弄する困ったちゃんであり、そしてなにより「人類のパートナー」であり続けるということ。愛を以ってね。AIをアイと読ませるのベタベタだけどめっちゃ好き。癌(バグ)によって生まれた特異な月のAI、ラスボス系後輩『ムーンキャンサー/BB』は人類を見守る友人、あなたたちの味方です!分かっていただけましたか?センパイ☆という物語だったわけですな。

 

BBドバイがも〜〜〜健気でね。つられて泣いちゃったよ。でも、どんな未来にいてもBBちゃんはBBちゃんなんだなって安心(?)しました。安心といえば今回はBBコスモがずっと味方側にいるのが頼もしすぎた。AIが参謀に就くと、とにかく話が早くて助かる。BBちゃんは中身ウエットなのにAIらしくドライに振る舞おうとするのが可愛らしいよな。だからぐしゃぐしゃの泣き顔があんなにも映えるんだ…。

 

ついでに少し各キャラ感想

今年の水着鯖たち‥個人的にはサバキャン鯖の水着デザインがとても好きで未だによく使っているんですけど、今回の水着鯖も同じくらいすんげ〜〜〜可愛くて良かった。宝具演出もだいぶ極まってきたな〜と思う。今年だとニキチのが一番好き、なんというかその…ぽよぽよしててかっこ可愛い。なんか夏イベ+奏章に登場したからいつもの夏より長く一緒にいた感。落ち着きのあるキャラばかりで、いつものワイワイも好きだけどこういう雰囲気のパーティもとても好き。ん?落ち着き…?テノち…お兄さんが怖い顔であなたのこと見てますよ???

Sエレちゃん‥とにかく立ち絵がぜんぶ可愛い。困惑顔が一番可愛い。発表されたときは思わず「ビーーースト!!?ww!、www!!!???」って声を上げてしまった。奏章ではAIたちの「不死」まわりについての掘り下げ担当だったね。FGO…というか型月全般?なのかな、「どんなことにも終わりは必ずあるし、あるべき」みたいな思想があると感じる。わたしは「終わり」とか「別れ」とかがかなり苦手で、なんせ自分のお別れ会からも逃げ出すレベルですからね。なので楽しい物語は永遠に続いてほしいし好きな人間とは永遠に離れたくないから、この「終わりの美学」を受け入れるのめっちゃ辛い。物語も人生も、終わりがあるから美しいし尊いってのは分かる。わかってはいるが、わかるわけにはいかんのだっ!!(画像略

ムーンキャンサーのみなさん‥今回のボスキャラの方々であり、霊脈石を消費させた方々。やっぱ殺生院は最高だな。負けラスボスムーブしてるときの殺生院マジでイキイキ(意味深)してて大好きだよ。強化きてくれて嬉しいゼパ!

オールド・ドバイ組‥今回の拠点でお世話になったキャラクターたち。ジナコが彼女なりのしなやかさを手に入れててジーンとしたし、そんなジナコに影響を受けたハサラさんとの友情に涙。アンソニーは挫折から立ち上がって勝利への鍵になってくれたのが、めちゃくちゃ人間賛歌してて胸がアツくなったね。エゴが発現したリップもそうだけど、「計算外のことができる=人間性の獲得」というのが、そのまま「未来への可能性」になるんだと思う。ここ、ミクトラン終盤のディノスに似てるなと。そして癒やし枠のチャッカリムさんはなんでラクダなの?あれ?ラクダであることの説明あったっけ?なぜ?可愛いからこまけぇこたぁいいんだよ!

岸波先輩‥月の案件だしそりゃ来ますよねっていう。「BB顔に甘い」ってとこ、同じく…!!と握手したい気分だった。CCCだとザビ子でやってたので今回の配布ではザビ男を選びました。どっちも欲しいから早くなんとかしてくれ〜。ザビーズは双子でぐだーずは兄妹みたいな感じ〜って話すごいしっくりきた。ここらへんで「きみにもこういうことがあるかもね(意訳)」みたいな台詞あったよね?あれわざわざ入れるってことはぐだーずも…分裂くるか…!?あと宝具が粛正防御では防げないのに回避は効くの、「防げないなら避けたらええやん!」ってノリなの!?と思って笑った。

 


ここからは全体の感想

・夏イベの終わり方さぁ…

運営のケツ叩き施策があったとはいえ、そのまま奏章Ⅲに入れない人はあのオチじゃ意味わからなくない?とちょっと心配になった。普通に夏イベは夏イベで完結→夏イベからの地続きストーリーで奏章Ⅲ開始…じゃダメだったん?2部完結までのスケジュールけっこうギチギチだったりするのかな。シナリオ分割も前のほうの話(細かい設定や伏線台詞)忘れたりするから個人的にはあんまり好きじゃない。

・ボス難易度は高め

苦戦したのはアーキタイプ:アースさんと殺生院とムーン・キャンサー。Sエレちゃん引けなかったから固定編成助かる場面もあった。前々からみんなツッコんでると思うんだけどさ、ゲージブレイクで敵が強化されるのってゲーム的におかしくない?wゲージ割ったらこちらにご褒美バフがあるべきだろ…。とはいえヌンノスほど「どうすりゃええんやこれ!?」て絶望はなかったのでまぁまぁ。ほとんどマーリンコヤン添え卑弥呼さまのグーパンで解決できた。結局手持ち次第だよなぁ。

・人間×AIについての思想

この話をAI黎明期の今やることに意味があると思ってて、AI自体は昔からあっても人間との関係性は未成熟だから、これからの時代をAIと共に生きてく人たちに向けたライターさんなりのAI論なんじゃないかなって。なんか想像してたよりずっと希望と愛情に満ちてて驚きました。でも世界の霊長は生物学的な意味での"人間"である必要はないということだと思うので、未来のある描き方されてるのがかなり好き。タイトルにある「インセプション」って何かのはじまりを意味する言葉だから、「事の発端はアーキタイプを開発したこと」てことなのか、「ムーンドバイで起こった出来事を発端としたアーキタイプのこれから」てことなのか、どっちだろう。どっちもだったら嬉しいな。

・色々詰め込みすぎ問題?

これけっこう言ってる人多いみたいなので一応。たしかに6章後半みたいなギチギチ感なくもなかったかも…?ただ、「最低限の描写はしたからこれで終わりだよ」なのか「これからどこかのシナリオで拾う予定だから匂わせだけして終わりだよ」なのか絶妙に分からんところはあったと思う。わたしは「なんでもかんでも詳らかにせよ」というタイプの読者ではないのであんま気にならんかった。

 

 


ということで奏章Ⅲについてはこんな感じで。軽く書くつもりが長くなっちった。

これまでの3編どれも終わり方がヌルっとしてるなぁと思ったんだけど、その理由が「この編のオチはこういうことです!」みたいなのが分かりやすく明言されないことなんですよね。

で、おそらくこれわざとぼかしてるんじゃないかと。そもそも奏章の主軸として「無自覚な罪を精算し潔白を証明する、歪みを正す」というのがあり、どういうことだってばよ…!?状態なんですが。まぁ「"我々が"エクストラクラスについての理解を深めて人理定礎盤の値を正常化させ南極に行こう」みたいな目的なんですなたぶん。だよね!?

なので、「つまりこういうことだよ」の部分はハッキリと提示せず、藤丸自身に考えさせる、プレイヤーの脳に働きかけるという仕掛けにしてるのではないだろうか。それか、わたしがなんか読み飛ばしててよく分かってないのか、どちらかだね!(ニコッ

 


今年はコラボやらなにやらてんこ盛りでみっちりしたイベントスケジュールでしたがあとは何がくるんだろう?

奏章Ⅲは予定されてたというよりマジでいきなりねじ込まれた感があるので、この後オルガマリークエストくるんですかね?2戦目は遊びやすくシステム改修が入ったので良かった。リトライ時敵側の演出カットさせてくれるともっと良いぞ。

あとはぐだぐだとクリスマスがあるとして、個人的には久しぶりに塔イベやりたいです。未育成の鯖を育てるいい機会だし、普段あまり編成しない鯖で遊べるから好きなんだよな塔イベ。

あっ、それより先にハロ…ウィン…うッ…頭が……!!??

 

おわり。